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明日への誓い ~大海戦最終日~

作戦本部のある最終日のマラカイボはある種異様な空気に包まれていました。

ここまでの2日を終えて戦況がおもわしくなく、既に敗色ムードが立ち込めてたからです。

「Mahi隊長、この海戦このままでは・・・。」

「気にするな。我等には勝敗はあまり関係無い。敵がいれば倒す。それだけだ。」

「それはそうなんですけど・・・。ところでToraさんはまだですか?」

いつもなら誰よりも先に来て装備を確認してるはずのToraさんの姿がそこにはありませんでした。

「Toraはもうここには来ない。今日の副隊長はEXだ。腕は俺が保障する」いつもと変わらない口調で淡々と話すMahi隊長。

「そんな・・・。どうして?ここまで一緒にやってきたのに・・・」


「不服か?」少し語気を強めて隊長は尋ねてきました。

「いえ・・・。問題はありません。私も準備します。」

そう答えたものの内心は全然納得がいかず、Toraさんの事が気になって仕方がありませんでした。

その私の胸の内を見透かすように隊長が言葉を続けました。

「お前の準備が終わり次第出るぞ。EXはすでに出港所にいる。先行して待ち構えるぞ今日は。少しでも戦果は上げておくに越した事はない。」そう言うと隊長は装備をまとめてその場を立ち、出港所に向かって歩き出しました。

私は大慌てで装備をまとめながら「ちょ、ちょっと待ってください隊長!EXさんがいらっしゃっても私を入れて3人ですよ?いくら隊長とEXさんが優秀だとしても、さすがに3人艦隊では分が悪過ぎます。」と、すでに揃え終わった装備を小脇に抱え、隊長の後を小走りについて行きます。

隊長はそんな私の問いかけが聞こえなかったのか、もしくは聞こえていても意に介さなかったのか、全く歩みを乱すことなく出港所に到着しました。遅れて私も到着。息はすっかり上がっていました。

「ハァ・・・。ハァ・・・。全く隊長はどうしちゃったのかしら?Toraさんの事といい、3人艦隊といいあまりにも突然過ぎて。フゥ・・・・・。」

呼吸を整える為に下を向いていた私が、荒い呼吸を整え顔を上げた時、そこには信じられない光景が拡がっていました。

「嘘・・・・。こんな事って・・・・。」



そこには私の記憶にある赤い帆の戦列艦とアラビアンガレーが私のガレオンの両側を挟むように並んでいるではありませんか。

呆然と立ち尽くす私の背後で、こちらも聞き覚えのある声が聴こえてきました。

「準備が遅いのは相変わらずね睡蓮s。腕の方も相変わらずなのかしら?フフッ。」

「全くしょうがないわねぇ。少しは成長してるかと思ってたのに。でも元気そうで良かったわ。」

振り向くとそこにはLunaさんとSoraさんの姿が。2人は金色の私の船に太陽を反射させてキラキラと輝いて微笑を浮かべていました。

「あぁ・・・・。」私は言葉が声にならずただその場で涙を零しました。生きていてくれた。ただその事だけが嬉しくて。

「まあでも無理もないかぁ。私達も絶対にダメだと思ってたしね。けどさすが隊長ね・・・戻ってきてからお話しを聴いて正直ゾッとしたわ。あの場でよくあんな判断ができるものねぇ・・。」

「あれしか手が無かっただけだ。それでも5分5分。後はお前達の生きたいと思う気持ちが強かっただけだ。」

いつの間にか私達の側に立っていたMahi隊長が答えます。

キョトンとして真っ赤に目を腫らした私に、お二人はあの時の事の顛末を話してくださいました。

「隊長はね、計算して私達の間に突入していたの。砲撃を一斉に浴びて爆発炎上する私達の船の間をね。その時の隊長の突入時に巻き起こる風の力で一瞬だけ私達を取り囲む炎が消えたわ。そのタイミングを逃さず私達2人は海に飛び込んだって訳。隊長の突入スピード、タイミング、風を送り込む為の帆の張り方、どれか1つでも欠けていたら絶対にあの現象は起きなかったわ。信じられる?その判断をあの時瞬時になさってたのよ?」と、改めて関心するようにLunaさんは説明してくださったのでした。

その後を続けてSoraさんが「その後Toraさんとあなたの船が通り抜けて行ったのが死角になってくれたのも良かったのよぉ。そのおかげで敵は私達の姿が見えなくなったんだから。もっともあの爆発で生きているとも思っていないでしょうけどね。それが証拠に3人が抜けて行ったらすぐに封鎖を解いたわ。」と補足を入れてくださいました。

私は2人のお話しを聴きながら、少し照れくさそうに見えなくもない隊長の顔をジッと見つめていました。



隊長を見つめる私に気付いたのか、軽くウ~ンと背伸びをして「さ~て。睡蓮sに説明も済んだ事だしそろそろ行きましょうか隊長。EXさんも長い事お待ちでしょうから。復帰したからにはまたバンバン行きますよ~!。」とSoraさんは言うなり出港所に駆け出して行きました。

「私もです隊長。またお世話になります。」隊長に向かって頭を深々と下げるとLunaさんも続いて駆け出して行きます。2人が声の聴こえないくらい遠ざかったのを見て私は、

「ご存知・・・だったんですか?」

「だから言ったろう5分5分だって。」

「嘘ばっかり・・・・。」そう言って隊長の瞳(め)を真っ直ぐに見つめます。

「まあそう言うな。嘘は言っていない。だが俺はきっと2人なら生還してくれると信じていた。だからこそ躊躇わずにあんな真似が出来たんだ。」こちらも真剣な眼差しで真っ直ぐに私の瞳(め)を見つめ返します。

そっかぁ。この人はきっと私たちが信じるのと同じくらい、私たちの事も信じてくれているんだ。

今頃そんな事に気付くなんて・・・。

やっぱりこの人は凄い人なんだ。私、この人の隊に入れて本当に良かった・・・。これからもきっとずっと一緒に・・・・。


そんな私の思いを察したのか、

「さて、俺達も行くぞ。戻って来た2人にお前の成長を見せてやるんだろう?」とMahi隊長は軽く受け流すように、そしていつもと同じ口調だけど、どこか優しさがこもったかのように言うと先に歩き出したのでした。



これからどんなに挫けそうになっても、どんなに辛い事があっても、私は海事を諦める事はないでしょう。


そう心に誓うと、私は静かにMahi隊長の背中に敬礼を贈るのでした・・・。





                                   fin










































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テーマ : 大航海時代Online
ジャンル : オンラインゲーム

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作品仕立ての3部作 文章の巧みさにビックリです・・・
しかも短期間でこれだけに仕上げるとはw
次のUPも楽しみにしています(゚∀゚)

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